1/9/2006
「十日戎開門神事」

 明日から、私にとってまさに年明けの十日戎があり ます。もともと摂津国のここ西宮で始まったとされるえびす信仰・・・その最大のお祭りで日本全国から参拝客がいらっしゃいます。

 その中でメインイヴェントというのが「十日戎開門神事福男選び」です。日時は1月10日の午前6時 から行われます。原形の起源としては鎌倉時代とも室町時代とも言われますが、今のように新暦の1月10日に門の前から一斉に走って拝 殿まで駆け込むようになったのは私が調べたところでは大正時代くらいではとの印象を受けます。

 この神事の醍醐味は門から拝殿までの約230メートルを駆け抜けること。門の開く瞬間の高揚感は日 常生活の疲れをまさに一瞬に吹き飛ばしてくれる効用を持っています。これは私だけではなく何回も参加したリピーターの人全てが語るこ とです。

 十日戎の元々の神事は「御狩神事」と呼ばれていたものなのですがこれは、民俗学者の柳田国男の言う 「神人合一の境地」に至るための「ミマカリ」ではないかというのが現在もっとも支持されている説です。現在でも1月10日の午前4時 から「忌籠神事」という神事が行われるのですが、これは西宮にいる邪神を追い払うため氏子中が精進潔斎を行うもので氏子中が謹慎状態 に入らなければならなかったお祭り(まさに神をおまつりする)なのです。

 その謹慎状態が解けたのが夜明け。昔は旧暦を使用していますから日の入りは大体午前6位くらいに なってたのでしょう(今では新暦を使っていますので日の出前の出走ですが)、その謹慎状態の解けた開放感がまさに一人一人に「神人合 一」の境地を生み出し氏神である「えびす様」に会いにいったんだろうと考えます。

 その当時の「ミカリ」のエッセンス、多分どんな祭りにもある高揚感を生み出す要素(医療的に脳内麻 薬の効能を科学的に証明していただきたいと願うところです!)を味わえるのが、時代は変わったものの私が10回くらい走ったこの十日 戎開門神事だろうと思うのです。もともとは、その開門神事自体を調べるために参与観察として入った一番身近なフィールドだったのです が、すっかりミイラ取りがミイラになってしまい何回もその後走ってしまいました。

 現在では、この祭りをもっと多くの人に走ってもらおうと氏子青年会若戎会の中の賛助会の人間として 走ってもらう側に去年から関わっています。長年門を開けていただいている神農会の方々、氏子の方々、神社の人たちそして毎年走ってく ださる多くの人々と共にこれからも成功に導ける様に頑張っていきたいと思っております。

 さぁもう明日になってしまいましたね!書いてるうちにテンションが上がってしまいました(笑)

皆さんも一度参加してみませんか?前列は108人までですがそれより後ろでも「高揚感」は感じられる と思います。
http://www.wakaebisukai.com/kaimon/index.htm
に抽選方法などが載っていますのでご参照下さいね。

初戎門から出づる福求め
門の開く瞬間からの初戎
参道の足音響く初戎
いにしへの御狩神事を初戎
初戎夜明けの神々しさぞ今


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